« 古事記を読む  大國主神の別名 | Main | 古事記を読む  大国主の神裔 »

2005.06.06

古事記を読む  葦原醜男における「醜」という漢字

No90
(字通より抜粋)
〔形声〕声符は、酉(ユウ)。酉は酋とともに同字であった。
「説文」九上に 「悪(にく)むべきなり」とし、酉声とする。
意味は
① 酒を酌む、礼貌して鬯酌する形。 ②みにくい、あやしい。悪い ③にくむ、きらう
④なかま ⑤州・尻と通じ、尻の穴

〔古訓〕醜女、志古女(しこめ) カタナシ、ハヂ、モロモロ、ミニクシ、アシ、、タノシ、ココメ、ハナツ、ニクム、ツタナシ。
〔熟語〕醜悪、醜夷、醜怪、醜好、醜行、醜名、醜虜、醜老、遺醜、黒醜、狂醜、衰醜

大国主神の別名として、日本書紀に、葦原醜男が記されています。葦原醜男にあたる同じなまえとして、古事記には、葦原色許男神が記されています。前記の醜女、志古女(しこめ)も〔醜〕の字を〔シコ〕と読ませているようです。

司馬遼太郎は、〔街道をゆく〕の中で、次のように述べています。
「色許男は醜男ともいい、この醜はミニクイというより、強悍という意味である。上方方言で、男の児たちがあばれちらすことをシコルという。これは、「醜(シコ)る」ということです、とかつて田辺聖子さんが教えてくれた。‘醜(シコ)の御盾(ミタテ)’も強い近衛兵ということであり、また相撲で力士が土俵にのぼって四肢(シコ)を踏む、というのも、敵に対して大いに醜(シコ)を利かせてみせる、という古代からの所作、ことばであるにちがいない。ともかく、醜というのは、わるいことばではない」

二人の大家が言われることですから、私が別のことを述べるのは気が引けますが、原文を読みますと、スサノオは、「此者謂之葦原色許男」と言って、即に、喚び入れて、蛇の室に寝るように命令しました。殺そうとした大国主神を褒め称えるような言葉を使うのはおかしいです。日本書紀の作者は、大国主神は気に入らないので、あまり書きたくなかったのですが、書きました。葦原色許男をどのように読むのか知っていましたし、古事記と同じ漢字は使いたく無かったので、「醜」を使いました。勿論、醜いの意味で使ったはずです。

はじめに記しましたように、「醜」には、勇ましいとか逞しいとかの意味は全くありません。熟語は、中国の文献に見られるものですが、良い意味は一つもないのに、どうして、悪い言葉でないことになるのか不思議です。
殆どの本では、力づよい神と書かれています。それほど立派であれば、スサノオは結婚に反対などしないでしょう。

|

« 古事記を読む  大國主神の別名 | Main | 古事記を読む  大国主の神裔 »

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18266/4433452

Listed below are links to weblogs that reference 古事記を読む  葦原醜男における「醜」という漢字:

« 古事記を読む  大國主神の別名 | Main | 古事記を読む  大国主の神裔 »